ピアノを修理する前に知っておきたい!基本知識やプロに依頼する方法について解説

ピアノを長く良い状態に保つためには、定期的にメンテナンスや修理をする必要があります。
優れた技術力と豊富な知識が必要になる作業ですので、自分で行うのではなく専門業者に依頼することがおすすめです。
楽器店やメーカーなどで紹介してもらえる場合もありますが、依頼する前には実績や評判もよく確かめておきましょう。
費用についても安心できることが大切ですので、良心的な価格で作業をしてくれるかどうかも確認しておきたいところです。
ピアノを修理する前に知っておきたい!基本知識やプロに依頼する方法について解説
ピアノは高価な楽器ですが、メンテナンスをきちんとすれば長期に使うことができます。
ピアノを修理に出す前には、基本的な知識も知っておきましょう。
まず、ピアノは多くの精密な部品から作られており長期に放置していると劣化しやすい傾向にあります。
ピアノは弦で音を奏でていますが、使うたびに弦は少しずつ伸びていくので音の高さが変わることにもつながります。
良い状態を保つためには、定期的に調律などのメンテナンスはしておきたいものです。
高い技術が必要になりますので、専門家に依頼することになります。
専門業者に電話やメールなどで連絡することもできますし、楽器店やピアノメーカーから紹介してもらえる場合もあります。
ピアノの修理が必要となるさまざまな症状
ピアノの修理を必要とする「症状」は、一台一台違うものがあります。
たとえば、鍵盤が下がったまま戻らない、鍵盤がめくれて変形している、小口が黄ばんで汚れているなどいろいろな症状があるので大変です。
また、30年以上前に購入したものだけど調律以外のメンテナンスを受けていないピアノなども、修理が必要です。
変な雑音が聞こえたり、ずっと使っていなかったものなので音がおかしくなっているなど、困ったこともたくさんあると言います。
ピアノのトラブルで一番「これに困っている」と依頼されるのが、「バットアッセンブリーのスプリングコード」の交換だそうです。
ピアノの弦を打ったハンマーを元の位置に戻すためのU字型の紐なのですが、これを適正な強さで固定しておかないと連続打鍵をすることが出来なくなってしまいます。
音の強弱にも関係するところなので、早めに修理をしておくべきです。
長い間放置していたものなどは、メンテナンスとケアをまずはしておきましょう。
ピアノの修理につながる原因や使い方
故障・不調になりかねない原因や扱い方の例を見ていくと、まず設置場所が挙げられます。
直射日光が当たっていたり、空調設備がない部屋に設置していると不調を起こしやすく修理が必要となる原因になり得ます。
大半が木材で構成されているピアノは直射日光に弱く、最適とされる温度・湿度にも条件があるからです。
適しているのは湿度が50〜70%で、温度は15〜20度程度と言われています。
また、冷暖房器具の風が直接当たる場所も向いていません。
高温や低温、極度な乾燥状態や湿気も苦手としていることをよく覚えておきましょう。
汚れやホコリが付くのが嫌だからといって、ピアノにカバーを掛けているのも良くないです。
風通しが悪くなり、湿気や温度がこもって木材に悪い影響を及ぼすからです。
日本は湿気が多い国であり、特に夏場は注意する必要があります。
一方で空調のかけすぎによる、極度な乾燥状態にも注意が必要です。
加湿器を使ったり、定期的に窓を開けて換気を施すなどの対策が大切です。
自分でできるピアノ修理とメンテナンス方法
普段から出来るメンテナンス法として挙げられるのが、外装面のお手入れです。
使う道具はピアノ用の毛ばたき、もしくは柔らかい布で良いです。
鍵盤に関しては、布で乾拭きを行います。
汚れが特に目立つ場合は、鍵盤専用のクリーナーを使って磨くと良いでしょう。
なお象牙を用いている場合は、キークリーナーではなく乾拭きのみにしてください。
トラブルを未然に防ぐ方法として有効なのが、湿度・温度の管理です。
大半が木材で構成されているピアノは高温多湿の環境に弱いため、きちんと管理する必要があります。
最適とされているのは湿度50〜70%、温度は15〜20度です。
一年にわたって適切な湿度・温度を保つために、直射日光が当たらずエアコンが設置された部屋に置くことが大切です。
冬場は低温および乾燥状態を防ぐ上で、暖房および加湿器が必要となります。
ただ気を付けたいのは、風・蒸気が直接あたらないようにすることです。
急激な温度変化が起きると、ピアノの金属部分に結露が生じてしまいます。
このまま放置すれば弦やフレームなどに、錆が発生するため注意しましょう。
ピアノの修理と調律にはどんな違いがある?
ピアノの修理は、文字通り故障した箇所を直す作業です。
ペダルや鍵盤、ピアノ線やハンマーといった部位の修理を行います。
一方で調律は、簡単に言えばギターのチューニングと同じです。
ギターと違う点は調整を行うための弦の本数と、専門的な知識・技術の必要性です。
通常のギターは基本的に6本であり、ペグと呼ばれる糸巻き部分で演奏者が簡単に操作できます。
しかしピアノの場合は88本の調整が必要であり、調律師と呼ばれる専門家が1本ずつ行う必要があります。
もちろん音程だけでなく弦を叩くハンマーや、鍵盤のタッチの調整も含まれる作業です。
ピアノの修理には、音が出ない・出にくいといった症状から鍵盤・ペダルの不調、内部の掃除までありとあらゆる作業が含まれます。
弱音器の効き目が悪くなっていたり、音色にムラが出てしまったりなどのトラブル対処も同様です。
他にも本体内部の汚れ防止のためのボード取り付けや、外装のクリーニング作業の取り扱いも含まれています。
ピアノ修理を依頼する会社を選ぶポイント
大切なピアノの修理を任せるからには、その修理技術が確実であるかを見極める必要があります。
多少値段が高くても、信頼できる企業に依頼したいところです。
口コミや評判をチェックしたり、知人に紹介してもらうのも良いでしょう。
所持しているピアノのメーカーに対応しているかどうかも、選ぶ上で重視したいポイントです。
修理や調律は他のピアノメーカーであっても行っているところが多いですが、中には純正品のパーツ交換が不可能な場合もあるため注意が必要です。
また修理箇所や方法によっては、対応できない場合もあることも忘れてはいけません。
もしご自身が所有しているピアノのメーカーが対応してもらえるのであれば、直接頼むかそこの直営のお店に頼むのが良いです。
価格帯も、判断材料の1つとして重要な要素です。
作業内容と金額が釣り合っているか、内訳を細部にわたって明示してくれるかといった点は判断する上で大切になります。
一社だけに見積もりを依頼するのではなく、複数の会社に査定を頼んで見積もり書を比較するのが有効です。
相場価格や作業に対する妥当な金額を知ることができるため、おすすめの方法です。
ピアノの修理をする前に準備しておくべきこと
ピアノの修理を依頼する前に準備しておきたいのが、現状と気になる箇所のチェックおよびメモです。
プロであればピアノを見たら異常を全て把握できるだろうと思いがちですが、いくら専門家でも限界があります。
弦の数だけでも88本存在しているのに、それに付随するハンマーやキー・フェルトなど部品は無限にあります。
加えて金属部分の錆やペダルの動作など、チェックすべき点は無数にあるということも知っておかなければなりません。
内部の不具合に関しても、その日の気温や鍵盤の叩き方によっては症状が隠れる可能性もあります。
こうなると全てをチェックするのは実質的に不可能であり、怪しい箇所を予測して修理するしかないという訳です。
こういった事態を防ぐために、少しでも気になる箇所や症状は普段からメモしておきましょう。
どんなに細かいことでも、気付いた部分は記録しておくことをおすすめします。
100人いれば100通りの弾き方があり、その人の筋力や姿勢・身長でしか発生しない症状もあります。
細かくチェックして、出来るだけ漏れのないように準備しておくことがベストです。
プロによるピアノ修理の流れについて
ピアノ修理をプロに依頼した際の流れを見ていくと、最初は現物を見ながらの見積もり作業となります。
ピアノが置かれている部屋や教室にスタッフが出向いて、依頼主に故障および異常があるとおぼしき箇所のヒアリングを行いつつ状態のチェックを行います。
もしその場で済む程度の不調であれば、当日もしくは別日にスタッフが出張して作業を行い終了というケースも少なくありません。
その場では修理が不可能な場合、本格的なオーバーホールが必要な場合は修理工房・自社工場へと持ち替えることとなります。
工房の作業の立て込み具合や修理箇所によって異なりますが、短ければ2週間ほどであり長ければ2〜3ヶ月かかることもあります。
ピアノを預けて修理を行う場合は、その作業費に加えて往復の運送費が発生する点にも注意が必要です。
また工場で精密検査を行った結果、追加の作業が必要となる場合がありその際は金額が変わる恐れもあります。
金額が変動しそうな時は、前もって連絡をもらえるように相談しておくことも大切です。
ピアノ修理にかかる期間はどれくらい?
ピアノの修理に出す際に、どのくらいの期間を要するのか気になる方も多いことでしょう。
症状にもよりますが早ければ数日以内で、時間がかかれば1〜2ヶ月が必要な場合もあります。
たとえば調律であれば、大抵は1〜2時間程度で終了します。
鍵盤の不調が2〜3箇所あって、弦やフェルトなどの交換だけで済む場合であれば数日の範囲で対応できることも少なくありません。
一方で故障箇所が多かったり、複数の機構に不調が見られた場合は工場・工房での大掛かりな修理が必要となる場合もあります。
その場合はピアノを分解して1つずつ部品をチェックしたりと、異常箇所の検出作業にも多大な時間が必要です。
自宅から工房までの往復の日数、修理待ちとなっている他の依頼者がいるのであればその日数分も考慮して、かなりの時間がかかることが予想されます。
発表会や音楽大学への入試、コンサートが控えているのであれば日数に余裕を持って修理を依頼することをおすすめします。
大切なピアノを修理で長持ちさせるメリット
ピアノを修理で長持ちさせるメリットの1つは、現在使っているピアノを使い続けられることです。
指のタッチや音色が気に入っていたり祖父母の代から受け継いでいたりする場合には、こまめに手入れし故障の軽いうちに修理することで愛着のあるものや家族の歴史のあるものを手放す喪失感を味わわなくて済みます。
小さな不具合なら、買い替えよりも修理費用が安いこともメリットです。
どちらが経済的なのかわからない場合には、修理業者に見積もりを依頼しましょう。
新しいピアノを買う場合には買い替えの費用がかかることはもちろんですが、処分にも費用がかかります。
気に入った楽器が見つからないと、なかなか新しいものを買えないこともあるかもしれません。
新品にするか中古にするか、アップライトがグランドピアノかなど選択肢が多過ぎて、購入には考える時間やエネルギーも必要です。
新品は弾きこまれていないので、音の鳴りや反応が悪く音色が大人しい傾向があります。